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藤村屋のちりめん山椒、普段販売しているものもこだわって製造しているのですが、山椒もチリメンジャコも新ものとなるこの時期、すぺっしゃるなちりめん山椒を作り上げ期間限定で販売するべく、プロジェクト進行中です。
全てにこだわってみようと原料選定から気合いが入ってます。 まずお酒を選定しました。 藤村屋のちりめん山椒は水を一切使わずに炊いてますんで、酒は味を左右する重要な素材の一つなんですよ。ちなみに普段使ってるのはごく普通の料理酒です。
伏見の松本酒造さんの厨酒(くりやさけ)
原材料は五百万石とひとめぼれともちろん純米酒100% 。天然アミノ酸が普通の酒に比べて6倍とうまみたっぷりのお酒なんですよ。 試飲してみたら甘口で、ものすご濃厚な味わいでした。
伏見の水は軟水で、その水で作られる酒は女酒と評されるほど甘口の酒を作る蔵が多いのです。まさに伏見の水(伏水)はこの料理酒にぴったりの水と言えるでしょう。
データによると
「スレオニン」「バリン」などの必須アミノ酸を七種類、強い甘みを持つ「アラニン」爽やかな甘みの「グリシン」強い甘みを爽やかな酸味の「グルタミン酸」など二十種以上のアミノ酸を744mg/100mlも含んでます。その上抗酸化性を示し最近注目されている「ガンマーアミノ酪酸」も普通酒の約三倍含まれています。
旨味がかなり強いので普段より少ない目に使わないと、チリメンジャコが持つ本来の旨味まで壊してしまうかもしれません。使い方によっては毒になりそうな逸品を入手してしまいました。
→伏見の松本酒造さん訪問記
極上ちりめん山椒に使う醤油を澤井醤油本店さんのに決定しました。
どうせなら京都産の手作り醤油をという事で澤井醤油本店さんの再仕込み醤油をチョイスしました。
製造元がその製造場なり工場を僕のような販売業者や消費者に公開するというのは、簡単なようで実はなかなか難しいものなのです。もちろん衛生面の問題で製造場に入れられない=非公開という場合もありますが、そのほとんどが見せたくないものがあるので、マイナスイメージになる事を恐れてしまうんですよね。 見られたく無いものとは例えば添加物とかであったり衛生管理が徹底出来て無い職人であったりします。
その点今回「極上ちりめん山椒」に用いる事に決定した澤井醤油本店さんは、「見せてもらっていいですか?」の問いにあっさりOKを下さいました。
歴史を感じさせる店構えと看板です。 澤井醤油さんの創業は明治十二年二月。京都御所の少し西に店を構えておられます。
流しを見せて貰ってとっても懐かしく感じました。藤村屋も昔はこのような流しでした。「はしり」と呼んでましたが。火伏せの神様、愛宕神社の護符は京都の家庭の台所には必ず貼ってありますね。
数年前に店舗改装をされたらしいのですが、一番気遣いをされたのが建物全体に住み着いてる麹菌が死んでしまう事で味が変ってしまう事だったとか。建物全体で醤油は作られてるんですねえ。
子供なら5人は入れるであろう大釜。
澤井醤油の濃口醤油は「さいしこみしょうゆ」で、一旦出来上がった醤油の生の状態である生揚(すなわち火入れ殺菌して無いという事)を、もう一度大豆と小麦で「二度仕込み」を行い、完成、すなわち熟成には二年間をも要するそうです。 一般的に出回ってる醤油の数倍もの時間をかけて熟成させているのです。
見学させて頂いてる間、ずっと素晴らしい醤油の香に包まれてなんだか腹が空いてきました。このすばらしい香がネットで伝えられないのが残念です。
みりんを決定しました
“本格米焼酎仕込「寶本味醂」”
全国展開してるタカラみりんの商品ですが、この商品に限り京都伏見で醸造してるってとこが気に入りました。
以下宝みりんのプレリリースです。
“本格米焼酎仕込「寶本味醂」”は、京都の名水「竹中清水」と国産米、本格米焼酎を原料に全国有数の銘醸地であり、また当社の本みりん製造の発祥の地でもある京都伏見にて醸造された高付加価値本みりんです。もち米、米こうじには国産米を100%使用し、独自に製造した吟醸香豊かな本格米焼酎とともに、じっくりと醸すことで上品でまろやかな味わいに仕上げました。調理効果にもこだわり、もち米由来の天然旨み成分が通常商品の1.5倍(当社比)含まれるほか、米焼酎の芳醇な吟醸香により素材の生臭みをマスキングする効果を高め、お料理をより一層美味しくする優れた品質を実現しました。
宝酒造は、天保十三年に京都伏見で酒造業を開始しました。以来160年以上にもわたり独自の製麹技術・醸造技術を活かした上質の本みりんを製造し、一般のお客様はもちろんプロの料理人の方々にも広くご愛顧をいただいてきました。近年、食へのこだわり志向が高まる中、原材料と造りにこだわった“本格米焼酎仕込「寶本味醂」”を発売することで、タカラ本みりん全体の高品質ブランドイメージを醸成するとともに、日本料理に不可欠の調味料である本みりんのさらなる普及に努めてまいります。
ちりめん山椒の一方の主役が山椒なら、もう一方の主役はこのちりめんじゃこ
極上ちりめん山椒プロジェクト用のじゃこは大分県豊後水道産の新物赤腹ちりめんじゃこを使います。
赤腹ちりめんじゃこ」はアミというエビによく似た甲殻類を食べて育ったちりめんじゃこの事。
先の写真をアップで見ると
赤腹がよくわかるかと思います。 オレンジ色に見えるのがそうです。 栄養たっぷりのアミを食べて育ったちりめんじゃこは噛めば噛むほど味が出る、それを使ってるのが藤村屋のちりめん山椒です。
新物と表記してるのは、ちりめんじゃこは年二回春先から初夏にかけてと秋口に水揚げされ、その季節は新鮮なちりめんじゃこが入手出来るのです。ちりめんじゃこは長期間保存出来るようにした加工食品ですが、海産物ですから鮮度の良いものを食べるに越した事はありません。 藤村屋の定番のちりめん山椒でもこのレベルのちりめんじゃこは使ってるんですが、新物が入手出来るのはまさに今の季節だけで、極上ちりめん山椒プロジェクトが期間限定で今しか出来ないというのもここに理由があるわけどす。
今年はなんと、京都市水尾地区の山椒が手に入りました
水尾というとゆずの里
水尾は柚子栽培発祥の地ともいわれ、14世紀初頭に在位した花園天皇が水尾の地に柚子を植えたとされている。 江戸時代にはすでに産地として知られていた(wikiペディアより)
大変歴史のあるゆずの里なんです
ここでピンときた方は素晴らしい
そうなんです、柑橘系の作物がよく育つところは山椒の育成も良いんです
手に取って品を吟味します。
ふむふむ。む~ん。。。。。
香りが素晴らしい、極上や~
手に取って品を吟味します。
目が痛くなるほどのフレッシュなグリーンです。
山椒がたけすぎると中身が黒くなってしまうんですが、それも無さそうです。
潰してみて香を嗅いでみると、う~ん、すばらしいええ香。
この香りが極上ちりめん山椒の最高のセールスポイントです。
目が痛くなるほどのフレッシュなグリーンです。 山椒がたけすぎると中身が黒くなってしまうんですが、それも無さそうです。 潰してみて香を嗅いでみると、う〜ん、すばらしいええ香。
この入荷したての山椒を10日という短い期間ですぐにあく抜きして枝取りし、極上ちりめん山椒に使用します。
ついに炊きあがりました。極上ちりめん山椒。
炊いてる最中に出る臭いですが、いつものものと全然香りが違いました。 醤油のニオイもベタッとしてない、ちゅうか、スパッと切れる鋭利な刃物のような芳香がするんですよ。凄いです。こんなにちゃうもんなんですねえ。大手生産品の醤油とは。
「これは絶対ええもんが出来る」
そう確信しました。
炊きあがった極上ちりめん山椒、さっそく味見にひとつまみ口にほり込みました(^_^)
「もぐもぐ」
最初の3噛みぐらいで醤油の味が口にぶわっと広がりすぐに一旦収束するんですが、噛み続けるとまたまた「じわっ じわっじわっ」と旨味がだんだんに上がってきて(音楽記号で言う所のcrescendo (クレッシェンド)のように)日本人にはたまらない和の味が口いっぱいに広がり「んっ、うまい〜」と頂点のうまさを感じた三秒後、今度はその旨味が濃厚過ぎて、ややベタッとしたやや重い味に変りそうになってしまうんですが、その99%の「うまい」の中に1%の「まずい」が頭をもたげそうになった瞬間に「プチッ」と噛み潰した実山椒から目の覚めるようなフレッシュな香と辛みがにじみ出て、強い旨味でべたつきそうになった口の中が「キリリ」引き締まり、再び「んっ、まいう〜」「あああ〜よくぞ日本人に生まれけりぃぃぃ〜〜」となってしまいました。
はあはあはあ。。。疲れた まさに食の格闘技、そんなちりめん山椒が出来てしまいました。一口食べる事に、これだけめまぐるしい情報が味覚に流れ込むんですよ。情報のオーバーフローでブラックアウトしそうです。、怖過ぎです。
こんな恐ろしいちりめん山椒を販売してええんでしょうか。。。。つい自問自答してしまいました。